非上場株式譲渡の基本知識と注意点|円滑な手続きを進めるために

「非上場株式とは具体的に何を指すのか」
「非上場株式の譲渡にはどのような法的手続きが必要なのか」

非上場株式の譲渡を検討している方々。
非上場株式は、一般的に株式市場で取引されていないため、その特性と価値を理解するのが難しい。
しかし、企業の所有権を持つ上で重要な資産となり得ます。

非上場株式を適切に譲渡するには、法律や規制を十分に理解し対策を講じることが不可欠です。
この記事では、非上場株式の定義や譲渡の流れ、法律と規制、そして実際に発生しうるトラブル事例について詳しく解説していきます。
最後まで読むことで、非上場株式譲渡の知識が深まり、成功への道筋が見えてくるでしょう。

目次

非上場株式とは?その特徴と価値

非上場株式とは、証券取引所に上場していない企業の株式のことです。しかし、一般的にはあまり耳にしないかもしれません。「なぜ上場していないの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

非上場株式は、主に中小企業全般やベンチャー企業などの株式が該当します。また、株式市場での流動性が極めて低いため、売買が難しい特徴があります。では、この非上場株式にはどんな価値があるのでしょうか?

非上場株式は、上場前の企業への早期投資と成長期待に基づく投資の一環として注目されています。ベンチャー企業のステージ投資に参加することで、将来的に高いリターンが期待できる可能性もあるのです。
そのため、非上場株式は投資家にとって一種の魅力となることもあります。

非上場株式の定義

非上場株式とは、証券取引所に上場せず、市場で取引されていない企業の株式を指します。明確に、一般市場で取引されないことが、その定義の中心です。

その理由は、企業がそもそも上場の基準を満たしていなかったり、上場に必要なコストや規制を避けるためだったり、株主構成の変化を厭うためだったり様々です。例えば、ベンチャー企業が成長の段階で資金を調達する際、非上場のままの方が経営の自由度を保てることがあります。

非上場株式を保有することで、事業の成長や新市場の開拓に直接関与できるチャンスが得られ、これは上場株では得られにくい価値です。上場前の企業に関わる投資家としての特別な位置づけが、投資家には面白みとなるのです。
したがって、非上場株式はリスクと引き換えに、独自の投資チャンスを提供しています。

上場株式との違い

非上場株式と上場株式の違いは、取引の場と流動性に大きな違いがあります。証券取引所に上場している株式は容易に売買できますが、非上場株式にはそのような取引自由度はありません。

非上場株式のほとんどには譲渡制限が設けられているため、取締役会や株主総会での承認が得られない限り、自由に売買することはできません。

しかし、これによって特有の価値も生まれます。非上場企業における経営判断や方向性に関与しやすく、また、企業が上場した際に大きなリターンを得る可能性もあるのです。非上場株式への投資は、そうした長期的なリターンを狙うスタンスで考えることが重要です。

非上場株式譲渡の流れと手続き

非上場株式譲渡の流れをスムーズに進めるためには、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。
非上場企業の株式は流動性が低く、法律や社内規定の制約もありますので、計画的に手続きを進めることが肝心です。

具体的には、譲渡の目的の明確化、株式評価、株主総会の承認、譲渡契約の締結といった手順があります。
ここからは、この手続きについて詳しく見ていきます。

譲渡の目的を明確にする

非上場株式譲渡の始めに、譲渡の目的を明確にすることが重要です。目的が不明確なまま進めてしまうと、予期しないトラブルが発生する可能性があります。

例えば、会社の資本構成を見直して成長資金を得るのか、または後継者問題の解決のためなのかといった目的をしっかりと定義します。
また、売り手と買い手の合意が必要ですから、どのような意図で譲渡を行うのか、双方が認識を共有することも大切です。
そうすることで、手続きの透明性が高まり、関係者全員の理解を得られやすくなります。

非上場株式譲渡を成功させるために、最初に譲渡の目的をクリアにすることは欠かせません。

株式の評価を行う

非上場株式譲渡において、株式の評価を正確に行うことは欠かせません。評価が不適切であれば、譲渡金額に影響を与え、トラブルの原因になりかねません。また、不当に安いとみなされた場合、贈与税が課税されることもあります。

なお、非上場株式は市場で取引されておらず、適正な価値を算出するのが難しいため、専門家の協力が不可欠です。

会社の業績や資産、負債、キャッシュフローなどを基に、公平な評価方法を用いて株式の価値を算出します。
「この評価方法、本当に正しいの?」という疑問を抱くかもしれませんが、信頼できる手法を選ぶことで誤解を防ぐことができます。

こうした適切な評価を行うことで、売り手と買い手の双方が納得できる取引が可能になります。

株主総会の承認を得る

非上場株式譲渡を進める上で、株主総会の承認を得ることは必須です。特に、定款で規定されている場合など、法律上の要件を満たさなければなりません。

譲渡の条件や金額などの大事な事項を株主に説明し、承認を得るためのプロセスを踏みます。
多くの株主が関与する場合、十分な説明と議論を行って、納得できる形で承認を求めることが重要です。
「全員から承認を得られるだろうか?」という不安があるかもしれません。適切な情報提供と誠実な対応が、承認を得る鍵となります。

株主総会での承認が得られた場合、次のステップに進むことができるのです。

譲渡契約を締結する

非上場株式譲渡の最終ステップは譲渡契約の締結です。契約はお互いの権利や義務を正式に認めるものであり、これによって譲渡が完了します。

譲渡契約書には、譲渡金額、支払条件、引き渡し時期、契約解除の条件などの具体的な条項を含める必要があります。
また、双方が契約の内容をしっかりと理解し、合意した上で署名します。
「この契約書、本当に大丈夫か?」と不安になることもあるでしょう。法律の専門家にチェックを依頼して、トラブルを未然に防ぐと良いです。

こうして、非上場株式譲渡は、双方が安心して取引できるようになります。

非上場株式譲渡の際に考慮すべき法律と規制

非上場株式譲渡は、一見簡単に見えるかもしれませんが、法律や規制に忠実に従う必要があります。
法令違反が発覚すると、罰則や手続きの無効といったリスクが避けられません。

そのため、非上場株式を譲渡する際には、事前に関連する法律や規制を深く理解しておくことが重要です。
特に会社法、譲渡制限株式の取り扱い、税法に関する注意点は無視できないポイントです。
今回は、それぞれの重要な法律と規制について詳しく説明します。

しっかりと法律を理解し、適切な対応をとることが非上場株式譲渡をスムーズに進める鍵となります。

会社法の規定

非上場株式譲渡において、まず考慮すべきは会社法の規定です。
なぜなら、会社法では企業の組織や運営に関して詳細なルールが定められており、これに違反することは許されないからです。

例えば、株式の譲渡に関しては「株主総会の承認が必要」とされるケースがあります。
また、取締役会での決議を必要とする場合もあります。株主総会や取締役会の決議は法定要件に従って行われなければならず、その過程における瑕疵があれば譲渡が無効となるリスクもあります。

したがって、非上場株式譲渡を行う際は、会社法を十分に理解し、必要な手続きを確実に踏むことが求められます。

譲渡制限株式の取り扱い

非上場株式の譲渡時には、譲渡制限株式が問題となる場合があります。
譲渡制限株式とは、株式の譲渡が一定の制限を受ける株式で、この制限により自由な譲渡ができないことがあります。

例えば、第三者への譲渡が取締役会の承認を必要とする場合もあります。もし承認を得られない場合、譲渡が無効となることがあります。ただし、取締役会で拒否された場合には、会社に買い取り請求をする権利が法的に認められています。

したがって、非上場株式譲渡を考える際は、まずは譲渡制限の有無を確認し、制限がある場合は適切な手続きを遵守することが重要です。

税法に関する注意点

最後に、非上場株式の譲渡には税法上の注意も欠かせません。
株式の譲渡には資産譲渡としての税金が課されるため、適切に申告しなければ税務署から指摘を受けるリスクがあります。

例えば、譲渡益については譲渡所得として課税され、これに対し譲渡損失については特定の要件を満たせば損失の繰越控除が可能です。
また、評価額に基づいて課税されることがあるため、譲渡前には株式の適正な評価が必要です。

このように非上場株式譲渡には税務に関する注意が必要で、適切な申告を行うことが重要です。
非上場株式譲渡に関する税務リスクを避けるため、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

非上場株式譲渡のメリットとデメリット

非上場株式の譲渡は、企業にとってさまざまな影響を与えます。特に注目すべきは、そのメリットデメリットです。

企業の成長戦略や経営状況に応じて、株式譲渡は多様な意味を持ちます。では、一体どのような利点と欠点があるのでしょうか?

非上場株式譲渡の実際について、詳しく見ていきましょう。

メリット:流動性の向上と資金調達

非上場株式の譲渡には大きなメリットがあります。それは、株の流動性を向上させ、資金調達の機会を増やせることです。

上場されていない企業では、株の取引が難しいとされがちです。しかし、譲渡を行うことで、株式の流動性を一時的にでも確保できます。
これにより、必要な資金を迅速に調達することが可能になるのです。「会社の成長のためにすぐに資金が欲しい」と考える経営者にとって、非常に有用な手段。

例えば、現金が不足している際に株を売却して資金を得ることが可能です。市場の変動に左右されずに、安定した資本を備える手段とも言えます。
最後に強調したいのは、このプロセスを通じて企業の資金繰りが大幅に改善される点です。

デメリット:譲渡制限や評価の難しさ

しかしながら、非上場株式譲渡にはデメリットもあります。それは、譲渡に際しての制限や、株式評価の難しさです。

非上場株式は、多くの場合譲渡制限が設定されています。これにより、譲渡の際に承認が必要となる場合や、相続に制限がかかるケースもあります。
「スムーズに譲渡できるのかな?」と不安になるかもしれません。加えて、株式の評価が難しいという問題も存在します。

上場株と異なり、市場価格がないために正確な評価が難しい。「この株は本当に価値があるのか?」と疑問視されることもしばしば。
実際、第三者による詳細な評価を受けることが必要な場合があります。結果的に、これらの制約が譲渡の実現を阻む要因となることもあるのです。

非上場株式譲渡におけるトラブル事例と対策

非上場株式譲渡には、多くのトラブルが潜んでいます。市場での取引が難しいため、価格や手続きの面での問題が多発します。これらの問題を避けるためには、事前の準備と慎重な対応が不可欠です。

この記事では、よくある非上場株式譲渡のトラブルとその対策について詳しく掘り下げていきます。こうしたトラブルを避けたいと考えている方には、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

価格交渉の難航

非上場株式譲渡における最大のトラブルの一つが、価格交渉の難航です。市場での取引がないため、適正な株価を決定するのが難しいからです。

大手企業のように公開された株価が存在しない場合、株の価値をどのように評価すべきかが問題になります。通常、企業の財務状況、将来の成長性、競合他社との比較などを考慮して株価を算定します。しかし、このプロセスは多くの手間と時間を要します。

価格交渉が難航することで、譲渡までのプロセスが長引き、譲渡を断念せざるをえない状況も考えられます。そこで、事前の価値評価が肝心です。専門家の意見を聞くことで、スムーズな交渉への一助となるでしょう。

承認手続きでの問題

株式譲渡は会社内部での承認手続きが必須です。しかし、この過程がスムーズに進まないことがあります。承認手続きがトラブルの原因となることも多いです。

一部の企業では、株式譲渡の前に取締役会や株主総会の承認が必要です。ここで問題が起こると、譲渡が困難になることも多々あります。例えば、規約による制限や反対意見が承認を遅らせる理由になることがあります。

承認手続きをスムーズにするためには、事前に十分なコミュニケーションを取っておくことが重要です。規約の確認はもちろん、関係者に対する説明会を開くことで、相互理解を促進させましょう。

税務上のトラブル

非上場株式譲渡では、税務上の問題が発生しやすいです。特に、譲渡益に対する課税が複雑で、トラブルを招きやすい点です。

譲渡により得た利益には、税金が課せられますが、その計算が非上場株式の場合はより困難です。譲渡時の価格が適正でないと判断され、課税額が高くなるケースもあり、結果として納税トラブルを引き起こします。

また、評価額が本来よりも低いとみなされた場合、贈与税や法人税などが課税される恐れもあります。

この問題を未然に防ぐためには、税務専門家のサポートを受けることが効果的です。適正価格の設定や税法に関する最新情報を基にした対策を講じることで、トラブルの発生を抑えることが可能です。

非上場株式譲渡について相談できる専門家

非上場株式譲渡に関する手続きを円滑に進めるためには、専門家のサポートが重要です。

非上場株式は、市場で取引されていないため、取引に関する法的知識や税務知識が必要です。また、譲渡契約書の作成や交渉も必要不可欠です。

そのため、弁護士や税理士、もしくはM&Aアドバイザーのような非上場株式譲渡の専門家に相談することをお勧めします。
これにより、法的トラブルや誤った税金申告を避けられます。

非上場株式譲渡は専門家を活用することで、スムーズに行うことができるのです。

弁護士に相談する

非上場株式譲渡に関しては、弁護士に相談することが非常に有効です。

なぜなら、弁護士は法的なサポートを提供するプロフェッショナルだからです。特に、譲渡に伴う契約違反や法的問題を未然に防ぐ役割があります。

例えば、譲渡契約書の作成やチェックを行い、法的に有効な契約を結ぶためのアドバイスを提供します。また、不測の事態に対する備えとして、適切な条項を盛り込むことも可能です。
「法的トラブルが起こったらどうしよう?」という不安を、弁護士のサポートで軽減できます。

こうして、弁護士に相談することで法的観点からのアプローチを得られ、安全な非上場株式譲渡が実現できるのです。

税理士に依頼する

非上場株式譲渡に関して、税理士に依頼することも大事です。

税金に関する問題は、株式譲渡において避けて通れません。正確な税額計算や適正な申告には、専門的な知識が必要です。

税理士は、譲渡益に対する税金や繰越欠損金の影響を分析します。具体的には、売買が発生する際の評価額を適正に計算し、納税額を算出する支援をします。
「この譲渡でどのくらいの税金がかかるのだろう?」といった疑問に対し、税理士が丁寧に回答してくれるのです。

よって、税理士に依頼することで、正確な税務処理が行え、余分な納税リスクを回避できます。

M&Aアドバイザーの活用

非上場株式譲渡にM&Aアドバイザーを活用することが一つの有力な方法です。

M&Aアドバイザーは、企業の価値を最大化しつつ、買い手との間に立ち交渉を進める専門家です。

譲渡条件の交渉や相手先の選定、さらにはデューデリジェンスの手配など、M&Aプロセスにおいて必要な多面的なサポートを行います。
「どんな相手に株式を売るべきだろう?」と迷ったときにも、具体的な指針を示してくれます。

M&Aアドバイザーを活用することで、取引を円滑に行い、非上場株式譲渡をスムーズに推進できるのです。

まとめ:非上場株式譲渡を成功させるために

非上場株式とは、証券取引所に上場していない企業の株式で、流動性が低く評価が難しいという特徴があります。
しかし、譲渡を通じて流動性を向上させることや資金を調達することが可能です。譲渡を考える際には、目的を明確にし、適切な評価と承認を得ることが重要です。

また、会社法や税法などの法的規制を慎重に考慮し、譲渡プロセスを円滑に進めていくことが求められます。
トラブルを避けるためには、弁護士や税理士、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談し、事前に十分な準備をすることが成功への鍵となります。

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この記事を書いた人

「一社でも多くの廃業をなくす」をミッションとし、M&A・事業承継の情報をわかりやすく発信。
後悔のない選択をし、一社一社が星のように輝けるようにという思いを込めてお伝えしています。

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